某堆肥化工場は一日100tもの堆肥を生産する程の処理能力をもつ国内最大規模の堆肥化工場として鳴り物入りで誕生いたしました。
目的は地域内の生ゴミを集め、食品循環資源のリサイクル・再生処理を行い有機堆肥を普及させ、地域の安全な農作物の作成に寄与するため、という環境循環型社会への挑戦です。
ところが、稼働開始から予想以上に濃い臭気が発生し、新設当時に設置されていた脱臭装置では対策しきれず、なんと年間3000件もの住民苦情が発生してしまいました。
相談を受けたら、ここで脱臭装置をそのまま売ることがないのがカルモアの特徴です。
本当に問題なのは何なのか、適した対策は何なのか、その答えを見つけるためにまずは臭気対策アセスメントを実施。工場内及び苦情発生エリアを臭気判定士がまわり、苦情の原因となっている臭気の調査から始めます。
苦情発生しているエリアで感じられたのは、つけもののニオイのような低級脂肪酸類でした。
これらの物質は、少しの濃度でも人間の鼻には感じられる物質であり、排気中の主成分でなくても、苦情の大きな原因となる物質。実際、工場排気の成分分析結果からも低級脂肪酸が苦情原因になるのではないかと推測されました。
そこで現在使っている脱臭装置の排気を調査したところ、
脱臭装置の排気はそれほど苦情原因となっていないことを確認。それよりも、日中に開け放している窓やシャッター部から漏れだしている臭気が苦情の主な原因となっている事を突き止めました。
臭気が漏れでないようにと窓を閉め切ると、堆肥の乾燥が効率的にできず、製品の質が落ちてしまいます。また好気性発酵が阻害され、ますます低級脂肪酸が発生する。そして何より工場内は臭気と水蒸気でとても人が働けるような環境ではなくなってしまいます。
そこでカルモアでは窓・シャッター部と開放部へマイクロゲルをスプレーするシステムを提案。蒸気と共に外へと排出される臭気に向かってマイクロゲルを細かいミストでスプレーします。
他の消臭剤は蒸発したら効果は無くなってしまいますが、マイクロゲルはミストが乾燥し目に見えない状態になっても脱臭効果が持続するのが大きな特徴。空気中で拡散していく間も脱臭をし続けます。
結果>>
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噴霧なし |
噴霧中ガス |
脱臭効率 |
臭気濃度 |
7,900 |
1,000
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87% |
※臭気測定は悪臭防止法に定める三点比較式臭袋法にて実施
また、夜間工場を締め切っているため、朝一番で開放する際はとても濃い臭気。
シャッターを開ける前に、工場内全体にマイクロゲルを噴霧し、臭気濃度を削減してから放出することにしました。
スプレーシステム導入後、なんと年間3000件もの苦情が、一気に解消されたとの嬉しい報告を頂きました。苦情が発生する住宅地にたどり着くまで空気中でも臭気と混ざり合いながら、脱臭を続けるマイクロゲルは近隣苦情対策にお奨めです。
工場内部
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開放部から漏出する臭気を
マイクロゲルで消臭
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工場内に吹き込むことで高効率に消臭
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